坂井将吾よ。誰にも負けない強い気持ちを持って山形に飛び込め!
今日は四中工と滋賀県代表・野洲の試合を見にまた等々力へ。

スタジアムに着くと最初小雨だった雨が、シトシトと降り続ける冬の氷雨へと変わって行く。
手がかじかむぐらいの寒さの中キックオフ。
前半3分に坂井が左サイドからゴール前に切れ込み絶妙なパスからU-16代表畠山がゴール。
この坂井の突破と判断は見事だったなぁと思った。
その後、四中工は一方的に攻めるもカウンター中心だった野洲も必死に耐え、野洲のエースストライカー青木が同点に。その後も四中工が攻めていた訳だがなかなか決まらない。決められないジレンマによる焦りが四中工のイレブン全体に悪影響を及ぼすのではないかと試合の中盤には思っていたが、後半に入って正にそうなってしまったねぇ。
後半に入って、四中工は焦りから前戦で単独プレーが目立ち、バイタルエリアでもシュート打たず持ちすぎの感。
至近距離では囲まれシュート打てずという感じ。この試合の坂井のシュートはペナルティエリア外の完全なミドルレンジだったしなぁ。
坂井のプレイスタイルは前戦と同様。チーム全体が下がったときは前戦に張りボールを待ち、攻めているときはサイド、中央とポジションを頻繁に変え、畠山をはじめとする他のタレントを生かすと言う形。坂井自身は視野が広く自己のポジションにボールを集めるよう頻繁に支持していたのが印象的。でも彼になかなかボールは集まらなかったなぁと。高校生イレブン全員に視野の広さを求めるのは酷ではあるけれども。
四中工の焦りが目立てば目立つほどカウンターで攻める野洲の攻撃は冴え、四中工は両サイドの守備が甘くなっていた。野洲後半38分の決勝ゴールでは四中工のディフェンスは完全にゴール正面のみに意識が集中していたのに加え、飛び込んでくる相手選手をケアし切れていなかった。

いくら強くても必ず勝てる訳ではない。サッカーはメンタルスポーツでもあることを改めて実感した試合だったね。
試合後印象的だったのはタイムアップのホイッスルの後、四中工のピッチに悔しさで倒れる選手や人目を憚らず号泣する選手達の中にあって、坂井は毅然として冷静であったこと。ピッチに倒れたままショックから起きあがれない選手を起こしに行き、センターサークル上では相手選手をも労う姿。スタンド挨拶の時も悔しさを表情に滲ませつつも涙は一切ない。しっかりとこの試合の結果を自己の糧としていることが見て取れた。四中工の敗戦は残念ではあるが、ショックが大きいはずの試合のタイムアップ直後も周りを思い量る強い気持ちに心を動かされた。
彼はこの試合を最後にプロになる。今の悔しさは自分のフットボール人生における通過点であり、ここからより厳しい闘いが待っていることを彼自身が一番理解しているのであろう。今回の選手権で彼の残した足跡は0ゴール、2アシスト。チームの戦術や相手チームの坂井に対する向かい方もあって、私自身1、2試合見たところでは彼の資質は分からかったし、今後トップチームで通用するのかは残念ながら判断出来る材料が無かった。しかし、彼の強いメンタルを見せて貰ったし、サッカーで生活していく以上、かなり厳しい現実を乗り越える気持ちの強さが要求されるのは当然のこと。この資質の素養を垣間見せて貰ったことは何よりの収穫だった。それを裏付けるかのように、ロスタイム、それまで前戦に張り付いていた坂井は意気消沈したムードの中、ボールを取りに一人ディフェンスライン近くまで下がってボールをチェイスしていた。試合を最後まで諦めない気持ちも持ち合わせていた。

プロの舞台で山形サポーターは君を待っている。誰にも負けない強い気持ちを持って山形の地に飛び込んできて欲しい。雨降り止まぬ等々力のピッチを背に控え室に消えていく四中工の10番を見ながら、心の中でそう呟いた。
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